川上さんの「コンテンツの秘密」を読んでみました。
目次
ジブリは「もののけ姫」派のweb父さんです。
遅ばせながら川上さんの本を読みました。とても素晴らしいかったです。
この本の中でも「クリエイティブ」についての記述がありますが、最近よく良質なコンテンツについて考えるようになりました。HTML5やJqueryの登場でウェブコンテンツ上でのクリエイティブな表現可能となっていますし、この手の議論はよくなされるようになっています。
アメーバの藤田さんも、
特にスマホになって、インターネット史上初めてと言っていいほど、クリエイティブが勝負どころになっていますよね。今まで、クリエイティブが競争力になったことはネットの歴史の中であんまりないんですよ。
とおっしゃっていますが、
ユーザにとってクリエイティブなモノは果たしては本当に価値があるがあるものなのでしょうか?
ウェブサービスにクリエイティブは必要あるのかどうか?
結論からいうと、ウェブサービスにクリエイティブは必要ないんじゃないかと。クリエイティブにこだわっているのは「クリエイティブに関わる人」ですよ、きっと。
たしかにHTML5の登場で簡単にカッコイイサイトを作れるようになりました。けどこれ、みんなカッコイイサイトを作ろうとしますよね。そうすると同じようなサイトが量産されるだけで今とあまり変わらないんじゃないかと思ってたりします。
けんすうさんが逆のことを考えていて面白いなあと。
人って、旅行に行って京都で有名なお寺を周るだけだと、あんまり思い出にならないと思うんですよ。むしろ、旅行中にひどい雨に遭遇して、泥だらけになりながらお寺巡りをしたり、何かアクシデントが起こった時の方が、数年後に良い思い出に変化しているんです。そんな感覚に近いかもしれないですね。
だから、普段のアプリ開発の時も、チームのみんなと「ちょっとだけダサくしない?」とか話しますよ。
より良いコンテンツはワンパターン化していく
川上さんの本ではライトノベルを例にして「良いコンテンツのワンパターン化」について記述されています。
ウェブサイトでも同じようにワンパターン化現象が日々起きています。
「不動産」サイトを一例にご紹介します。
上からsuumo/スマイティ/HOMES
あまり気にしたことも多いと思いますが、大手不動産サイトは、ほぼ同じUI設計になっています。
理由は簡単で、「商品」と「売り方」が同じだからなのです。不動産サイトの主な収益源は広告収益で、自社サイトでユーザに不動産を紹介して、そのユーザが無事成約すると紹介料をもらえます。
よくみてもらうとわかりますが、どの不動産サイトもほとんど同じ物件を紹介しているのです。それは、不動産情報を管理をするマスターのデーターベースがあり、そこに各社、接続して物件情報を取得しているのです。
サイトカラーやキャラクターで「表現」は変えていますが、同じ商品を同じように売っているのですから当然ワンパターン化していくわけです。
各社売れる方法を熟慮した結果、
似通ったワンパターン化したコンテンツが出来上がったのです。マネた可能性もありますが、売れるコンテンツ考える上でマネたほうが実はいいんじゃないかと思ったりします。
ワンパターン化されることは悪いことなのか
ここでもう一度、ワンパターン化の善し悪しについて考えてみたいと思います。
そもそもコンテンツのコピーやワンパターン化について議論しているのは「クリエイティブに関わる人」で、実はユーザは別に気にしていないじゃないかと思ったりします。
アニメやミュージックビデオをインターネット上でみるときに、コピーなのかオリジナルなのか気にした人はいるでしょうか。おそらく気にしているのは制作に関わっている方なのです。
ユーザにとって、オリジナル有無なのかより、「自分が欲しい情報」があるどうかの方がはるかに重要です。川上さんの言葉でいうと「主観的情報」が大切なわけです。
見栄えの良さやUX/UIうんぬんより、価値ある情報を伝えたいと思う今日このごろです。